転職エージェントと転職サイトの違いは?仕組み・お金の流れ・向いている人を比較
転職エージェントと転職サイトは、どちらも無料で使える転職サービスですが、仕組みがまったく違います。エージェントは担当者が企業との間に入って求人を紹介する「職業紹介」、転職サイトは求人情報を並べて自分で応募する「求人情報の提供」です。この記事では、法律上の位置づけとお金の流れから違いを整理し、どちらが自分に合うか、どう併用するかまで順番に説明します。
先に結論:違いは「間に人が入るかどうか」
いちばん大きな違いは、応募から内定までのあいだに担当者が入るかどうかです。
- 転職エージェント:担当者(キャリアアドバイザーなど)が希望を聞き、合いそうな求人を選んで紹介します。応募の手続き、面接日程の調整、条件の確認なども担当者を通して進みます。
- 転職サイト:求人がたくさん載ったサイトです。自分で検索して、気になる会社に自分で応募します。企業とのやりとりも基本的に自分で行います。
どちらが優れているというより、向いている人と場面が違います。迷ったら両方に登録して、使いやすいほうを中心にする人も多い方法です。ただし、仕組みを知らずに併用すると「同じ会社に二重で応募してしまう」といった失敗も起きます。まずは仕組みから見ていきます。
転職エージェントとは:法律上は「有料職業紹介事業」
転職エージェントは、職業安定法でいう職業紹介を仕事にしている事業者です。職業安定法では、職業紹介を「求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあつせんすること」と定めています(第4条)。
民間の会社が手数料を受け取って職業紹介をするには、厚生労働大臣の許可が必要です(第30条)。許可を受けた事業者は「有料職業紹介事業者」と呼ばれ、事業所ごとに許可番号が付きます。転職エージェントのサイトの下のほうや会社概要に「有料職業紹介事業 許可番号 ○○-ユ-○○○○○○」と書かれているのはこのためです。
担当者が何をしてくれるのか
サービスの中身は会社によって違いますが、一般的には次のような流れで進みます。
- 登録して、経歴や希望条件を伝える(面談はオンラインや電話のことも多い)
- 担当者が希望に合いそうな求人を紹介する
- 応募したい求人を選ぶと、担当者が企業に推薦・応募する
- 書類や面接について助言を受ける
- 面接日程の調整、結果の連絡、内定後の条件の確認などを担当者が仲介する
担当者を通すぶん、自分で企業とやりとりする手間が減ります。一方で、紹介される求人は担当者が選んだものが中心になるため、自分の希望がうまく伝わっていないと、合わない求人ばかり届くこともあります。
総合型と特化型がある
転職エージェントは、大きく2つに分けられます。幅広い業界・職種の求人を扱う総合型と、ITエンジニア、営業、医療・介護、管理職など特定の分野に絞った特化型です。総合型は求人の幅が広く、まだ方向性が決まっていない人でも相談しやすいのが利点です。特化型は、その分野の仕事内容や必要なスキルに詳しい担当者がつきやすく、専門的な話がしやすいのが利点です。転職サイトにも同じように、総合型と特定の分野に絞ったものがあります。
転職サイトとは:法律上は「募集情報等提供」
転職サイトは、企業の求人情報を集めて見せるサービスです。職業安定法では、労働者の募集に関する情報を、働きたい人に提供することなどを募集情報等提供と呼んでいます(第4条)。職業紹介とは別の扱いで、求人を見て応募するかどうかは利用者が自分で決めます。
最近の転職サイトには、職務経歴を登録しておくと企業や転職エージェントから声がかかる「スカウト」機能を持つものも多くあります。このように働きたい人の情報を集めて企業側に提供するサービスは特定募集情報等提供と呼ばれ、事業者は厚生労働大臣への届出が必要です(第43条の2)。
転職サイトでできること
- 勤務地・職種・年収・働き方などの条件で求人を検索する
- 気になる求人を保存し、比べながら応募先を決める
- 条件を登録しておき、新着求人の通知を受け取る
- 職務経歴を公開して、スカウトを受け取る(サイトによる)
担当者がいないので、何社に応募するか、いつ応募するかを自分のペースで決められます。そのかわり、書類の書き方や面接の準備、日程調整、条件の確認は基本的に自分で行います。
お金の流れ:どちらも求職者は原則無料
「無料で手厚く手伝ってくれるのはなぜ?」と不思議に思う人もいるはずです。答えは、お金を払っているのが企業側だからです。紹介や求人情報の流れと、お金の流れを図にすると次のようになります。
転職エージェントは、求職者から手数料を取れない
職業安定法は、有料職業紹介事業者が求職者から手数料を取ることを原則として禁止しています(第32条の3第2項)。例外は省令で決められていて、芸能家やモデルとして紹介した場合と、科学技術者・経営管理者・熟練技能者として紹介し、その仕事の賃金が厚生労働大臣の定める額を超える場合に限られます(職業安定法施行規則第20条第2項)。一般的な会社員の転職で、求職者が紹介手数料を払うことはまずありません。
エージェントの収入は、紹介した人が入社したときに企業(求人者)から受け取る手数料です。手数料の種類や額は、厚生労働大臣に届け出た手数料表などに基づいて決めることになっています(第32条の3第1項)。
転職サイトは、主に企業の掲載料で成り立つ
転職サイトの多くは、企業から求人の掲載料などを受け取って運営されています。料金の形(掲載期間ごと、採用が決まったときなど)はサイトによって違いますが、求人を見て応募する側は無料で使えるのが一般的です。
お金の流れから分かること
エージェントは、紹介した人が入社して初めて収入になります。そのため、担当者が「早めに決めたほうがいい」と背中を押してくることもあります。これは悪いことではありませんが、急ぐかどうかは自分で決めてかまいません。納得できない求人は断ってよく、断ったことで不利益を受けることも基本的にありません。
8つの項目で比較
ここまでの内容を、実際に使うときに気になる項目で並べると次のとおりです。
| 項目 | 転職エージェント | 転職サイト |
|---|---|---|
| 法律上の位置づけ | 有料職業紹介事業(厚生労働大臣の許可) | 募集情報等提供(スカウト型は届出) |
| 利用料 | 原則無料(企業が手数料を払う) | 原則無料(企業が掲載料などを払う) |
| 求人の探し方 | 担当者から紹介される | 自分で検索する |
| 応募の手続き | 担当者が企業に推薦・応募 | 自分で応募フォームから応募 |
| 書類・面接の準備 | 担当者から助言を受けられることが多い | 基本は自分で。サイトのノウハウ記事などを参考にする |
| 日程調整・条件の確認 | 担当者が仲介する | 自分で企業とやりとりする |
| 進めるペース | 担当者との連絡に合わせて進む | 自分の好きなタイミングで進められる |
| 向いている人 | はじめての転職、在職中で時間がない、相談しながら決めたい | 希望がはっきりしている、たくさん比べたい、自分のペースで進めたい |
求人の数や、そのサービスにしかない求人があるかどうかは、会社によって大きく違います。「エージェントのほうが求人が多い」「サイトのほうが多い」と一概には言えないので、気になるサービスの公式サイトで確かめてください。
転職エージェントが向いている人
- はじめての転職で、職務経歴書の書き方や面接の進み方がよく分からない
- 在職中で時間が取りにくい。日程調整や企業との連絡を任せたい
- 自分の経歴でどんな仕事に応募できそうか、第三者の意見を聞きたい
- 年収や入社日など、自分からは言い出しにくい条件の確認を間に入って進めてほしい
- 特定の業界や職種に絞って転職したい(その分野に強いエージェントを選ぶ)
反対に、担当者からの連絡や紹介が負担に感じる人、まだ転職するか決めていない段階の人は、先に転職サイトで求人を眺めてみるほうが気楽です。
転職サイトが向いている人
- やりたい仕事や希望条件がすでにはっきりしている
- できるだけたくさんの求人を自分の目で比べたい
- 誰かに急かされず、自分のペースで進めたい
- 今すぐではなく、良い求人があれば転職したい(新着通知やスカウトを待つ使い方)
- 書類作成や企業とのやりとりを自分でこなせる
転職サイトは「情報を集める道具」として使うと便利です。求人を見ていくうちに相場や条件の傾向が分かり、エージェントに相談するときも希望を具体的に伝えやすくなります。
自分に合うのはどっち?チェックリスト
次の質問に答えて、当てはまるほうの数を数えてみてください。数が多いほうを中心にして、もう一方は補助として使うのがおすすめです。
| 質問 | はい なら |
|---|---|
| 転職は今回がはじめて | エージェント |
| 平日の日中に企業へ連絡する時間がとりにくい | エージェント |
| どんな職種に応募できるか、まだ分からない | エージェント |
| 年収の交渉や条件の確認に不安がある | エージェント |
| 応募したい業界・職種がもう決まっている | サイト |
| 担当者から連絡が来るのは負担に感じる | サイト |
| 転職時期はまだ決めておらず、良い求人があれば考えたい | サイト |
| 求人をたくさん見比べてから決めたい | サイト |
同じくらいなら、両方に登録して1〜2週間使ってみてください。実際に使うと、自分にとって楽なほうが分かります。
併用するときの進め方と注意点
エージェントと転職サイトは併用できます。ただ、窓口が増えるぶん、管理を間違えるとトラブルになります。
同じ会社に二重で応募しない
いちばん多い失敗は、転職サイトで自分で応募した会社に、エージェント経由でも応募してしまうことです。企業から見ると同じ人から2回応募が来た形になり、印象がよくありません。エージェントから求人を紹介されたら、すでに応募した会社かどうかを先に確認しましょう。複数のエージェントを使う場合も同じです。
応募状況を1か所にまとめる
応募先が5社を超えると、どこに何を出したか分からなくなりがちです。スマートフォンのメモや表計算アプリで、次のような一覧を作っておくと安心です。
| 会社名 | 応募した経路 | 応募日 | いまの段階 | 次の予定 |
|---|---|---|---|---|
| A社 | エージェント(○○) | 11月1日 | 書類選考中 | 結果待ち |
| B社 | 転職サイト(○○) | 11月3日 | 一次面接 | 11月10日 19時 |
| C社 | スカウト | 11月4日 | カジュアル面談 | 日程調整中 |
「応募した経路」の欄があると、二重応募を防げるうえ、結果の連絡がどこから来るのかも分かります。
エージェントには他の応募状況も伝える
他社の選考が進んでいることは、エージェントの担当者に伝えておくほうがスムーズです。内定が出るタイミングをそろえたいときなど、担当者が企業側と日程を調整しやすくなります。
登録しすぎない
エージェントを何社も登録すると、面談や連絡だけで時間がなくなります。まずはエージェント1〜2社と転職サイト1〜2つ程度から始め、合わないと感じたら入れ替えるくらいがちょうどよい数です。
事業者を確かめる方法:厚生労働省「人材サービス総合サイト」
はじめて聞く転職エージェントを使うときは、厚生労働省の人材サービス総合サイトで事業者を確かめられます。許可を受けた職業紹介事業者は、このサイトに情報を載せることになっています。
職業安定法では、有料職業紹介事業者に、紹介で就職した人の数、そのうち無期雇用で就職した人が早期に離職した数、手数料に関することなどの情報提供を義務づけています(第32条の16第3項)。人材サービス総合サイトでは、事業者ごとに次のような情報を見ることができます。
- 許可番号、事業所の所在地、取り扱う職種
- 紹介によって就職した人の数(年度ごと)
- 無期雇用で就職した人のうち、6か月以内に辞めた人の数
- 手数料の内容や、返戻金制度の有無
許可番号で検索して出てこない場合や、サイトに書かれた許可番号と事業者名が合わない場合は、登録する前に立ち止まりましょう。なお、掲載内容は各事業者が入力したものです。
よくある質問
登録したら必ず転職しないといけませんか?
いいえ。登録しても転職する義務はありません。話を聞いたうえで今の会社に残ると決める人もいます。紹介された求人に応募するかどうかも、自分で決められます。
在職中でも使えますか?
使えます。転職活動は在職中に始める人も多く、エージェントは平日の夜や土日に面談できるところもあります。転職サイトは時間を選ばず使えます。
今の会社に知られることはありますか?
スカウト機能のある転職サイトでは、特定の企業に経歴を見せない「ブロック」機能を用意していることが多いので、今の勤め先や関連会社を登録しておきましょう。エージェントにも、応募してほしくない会社を最初に伝えておくと安心です。会社のパソコンやメールアドレスで転職活動をしないことも大切です。
紹介された求人は断れますか?
断れます。合わない理由(勤務地、年収、仕事内容など)を伝えると、次からの紹介が希望に近づきます。
担当者と合わないときはどうすればいいですか?
希望と違う求人ばかり紹介される、連絡の頻度が合わないなど、担当者と相性が合わないこともあります。まずは希望や連絡の方法(メールだけにしてほしい、など)をはっきり伝えてみましょう。それでも合わなければ、問い合わせ窓口から担当者の変更を相談できるサービスもあります。別のエージェントに切り替えるのも一つの方法です。
ハローワークとは何が違いますか?
ハローワーク(公共職業安定所)は国が運営する職業紹介の窓口で、求職者も企業も無料で利用できます。地元の求人に強く、職業訓練や雇用保険の手続きとあわせて相談できるのが特徴です。民間のエージェントや転職サイトと組み合わせて使うこともできます。
まとめ
- 転職エージェントは、厚生労働大臣の許可を受けた職業紹介。担当者が間に入り、求人の紹介から条件の確認まで仲介する
- 転職サイトは求人情報の提供。自分で探して自分で応募し、自分のペースで進められる
- どちらも求職者は原則無料。エージェントは法律で、求職者から手数料を取ることが原則として禁止されている
- はじめての転職や時間がない人はエージェント、希望がはっきりしていて比べたい人はサイトが向いている
- 併用するなら、二重応募を防ぐために応募状況を1か所にまとめる
- 知らないエージェントは、厚生労働省の人材サービス総合サイトで許可番号と実績を確かめる
まずは転職サイトで求人を眺めて相場をつかみ、気になる分野が見えてきたらエージェントに相談する、という順番も無理のない始め方です。
出典:職業安定法(e-Gov法令検索)第4条・第30条・第32条の3・第32条の16・第43条の2/職業安定法施行規則第20条/厚生労働省 人材サービス総合サイト